10年放置した銀行口座はどうなる?休眠預金の移管と引き出し方|2026年8月版

一般・くらしのお金

10年放置した銀行口座はどうなる?休眠預金の移管と引き出し方

この記事に広告リンクはありません
当サイトは、金融サービスやポイントサイトの登録をご案内する際に、提携先から成果報酬を受け取ることがあります。ただしこの記事は制度の解説を目的としており、本文・表・FAQのいずれにも広告リンクは置いていません。掲載したリンクは、金融庁・預金保険機構・内閣府・e-Gov法令検索および各金融機関の公式ページのみです。
本記事の信頼性とお約束
金額・件数・期日の出所は6系統です。公的機関が金融庁・預金保険機構・内閣府・e-Gov法令検索の4つ。ほかに各金融機関の公式ページと、独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構の公表資料を使いました。数値を載せた箇所には、その数値が載っている資料へのリンクを本文中に置いています。制度の運用は金融機関ごとに差があります。ご自分の口座の扱いは、必ず取引のあった金融機関にご確認ください。誤りを見つけた場合はご一報ください。確認のうえ、原則48時間以内に修正します。

10年動かさなかった口座のお金は、銀行から預金保険機構へ移されます。ただし、あなたが引き出す権利は消えません。期限もありません。唯一の例外が、郵政民営化前に郵便局へ預けた郵便貯金です。

預金保険機構が2026年6月30日に公表した資料によると、令和7年度に移された休眠預金等は586万9,928件・1,870億8,027万3,439円。同じ年度に持ち主へ払い戻されたのは54万5,396件・587億3,378万2,888円でした。件数でみれば、移る側のほうが10倍以上多い状態が続いています。

この記事で扱うのは3つです。いつ休眠預金等になるのか。移る前に何が届くのか。そして、窓口に何を持っていけば戻るのか。あわせて、通帳の記帳で止められるかどうかが銀行ごとに違うという実務上の落とし穴と、郵政民営化前の郵便貯金にだけ存在する「権利が消える期限」も取り上げます。

数字と条文はすべて出典URLを添えました。制度の運用には金融機関ごとの差があるため、最終的な確認先は取引のあった金融機関です。

目次(クリックで該当セクションへ)
  1. 10年動かさない口座は、いつ休眠預金等に変わるのか?
  2. 移管前に届く通知と、金融機関の電子公告
  3. 記帳すれば止まる、は銀行によって違う
  4. 令和7年度に移った1,870億円はどこへ行ったのか?
  5. 引き出しは窓口へ。持ち物と、戻ってくる金額
  6. 民営化前の郵便貯金だけは、20年2か月で権利が消える
  7. よくある質問(FAQ)
  8. 忙しい人向け 記事のまとめ

10年動かさない口座は、いつ休眠預金等に変わるのか?

休眠預金等とは、入出金などの異動が最後にあった日から10年を経過した預金等をいいます。預金保険機構は、対象を「平成21年(2009年)1月1日以降にあった入出金等のお取引から10年以上、その後の異動がない預金等」と説明しています。

ここに落とし穴がひとつ。2009年1月より前が最後の取引だった口座は、この制度の対象外です。金融庁のQ&Aは、2019年1月時点ですでに15年や20年動いていない預金について「休眠預金等にはならず、本制度の対象外です」と答えました。そのうえで、そうした預金についても通常は金融機関が引き出しに応じている、と付け加えています。制度の外にあるだけで、お金が消えたわけではありません。

金額の下限もありません。金融庁のQ&Aは、Q5「休眠預金等になる預貯金などの額に基準はありますか。」に対して一言、こう答えています。

権威性引用 「ありません。」——残高がいくらから対象になるのかという問いへの、金融庁の回答はこの4文字だけです。残高18円の口座も、残高80万円の口座も、10年の起算は同じように進みます。 出典:金融庁「休眠預金等活用法Q&A(預貯金者の方などへ)」2017年12月(2019年2月更新)Q5(https://www.fsa.go.jp/policy/kyuminyokin/kyuminyokinQA.pdf

対象になる商品と、ならない商品も分かれます。普通預金や定期預金は入りますが、外貨預金や財形貯蓄は入りません。判断の軸は預金保険・貯金保険の対象かどうかです。

区分該当する商品(金融庁の表記)10年経過後の扱い
「預金等」に当たるもの普通・通常預貯金、定期預貯金、当座預貯金、別段預貯金、貯蓄預貯金、定期積金、相互掛金、金銭信託(元本補填のもの)、金融債(保護預りのもの)休眠預金等として預金保険機構へ移る
「預金等」に当たらないもの外貨預貯金、譲渡性預貯金、金融債(保護預りなし)、財形貯蓄、仕組預貯金、マル優口座この制度の対象外。扱いは各金融機関の判断
別制度で動くもの2007年10月1日(郵政民営化)より前に郵便局へ預けた定額郵便貯金、定期郵便貯金、積立郵便貯金休眠預金等にならない。満期後20年2か月で権利が消える(後述)

定期預金には別の起算ルールがあります。預入期間や計算期間の定めがある商品は、その期間の末日から10年です。自動継続扱いのものは、最初の期間の末日が起点になります。10年前に預けて放っておいた5年もの定期は、満期から数えるとすでに5年が過ぎている計算です。

利子が付いても、時計は止まらない 金融庁のQ&Aは、Q7で「金融機関による利子の支払は、原則として異動に該当しません。」と明記しています。半年ごとに数円の利息が入っていても、10年のカウントはそのまま進みます。通帳を見て「動いている」と思っていた口座ほど危ないのは、このためです。

使っていない口座が複数あるなら、まとめて整理するほうが早いこともあります。選び直しの観点は、ネット銀行の選び方|金利・手数料・ポイント還元で損しない比較術にまとめました。

博士、学生のときの口座、たぶん10年触ってません。残高も数百円だと思うんですけど、それでも対象なんですか。
対象じゃ。金額の下限は無い。むしろ残高が小さい口座のほうが厄介でな、1万円未満には通知が郵送されぬ。気づかぬまま移る典型はそちらじゃよ。
数百円のために窓口へ行くのは、正直めんどうです…。
それなら放っておいてもよい。移っても権利は残るからの。ただし住所だけは届け出ておくことじゃ。届出住所が古いと、金額が大きい口座でも通知が届かん。

移管前に届く通知と、金融機関の電子公告

移管はいきなり起きません。法律は金融機関に、公告と通知という2段構えの手続きを義務づけています。起点は最終異動日等から9年が経過した時点です。

まず公告。休眠預金等活用法第3条第1項が金融機関に命じているのは、9年を経過した預金等について公告することです。期限は最終異動日等から10年6月を経過する日まで。中身は、最終異動日等に関する事項、移管金の納期限、債権が消滅する旨などと定められています。場は各金融機関のウェブサイト上の電子公告で、個別の口座番号や名義人の名前は載りません。

次に通知。同条第2項は、公告に先立って預金者へ通知を発するよう求めています。ただし例外があり、9年を経過した日の元本額が「主務省令で定める額」に満たない場合は通知が不要です。その額を決めているのは、施行規則第7条第4項です。

権威性引用 「法第三条第二項第一号の主務省令で定める額は、一万円とする。」——通知が届くかどうかの境目は、この一行で決まります。同条第1項が定める通知の方法は郵送です。ただし預金者の承諾があれば、電子メールに代えられます。 出典:e-Gov法令検索「民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律施行規則」第7条(https://laws.e-gov.go.jp/law/429M60000742002

この通知には、もうひとつ効き目があります。金融庁のQ&Aは、通知を受け取ることでその後の10年間は休眠預金等にならない、と説明しています。逆にいえば、通知が届かない口座は止まりません。届かない典型が2つ、Q14に挙げられています。残高が1万円未満のときと、住所変更を届けていないときです。

公告と通知がいつ行われるかは、金融機関ごとに違います。金融庁のQ&Aは「お取引などの異動が最後にあってから9年が経過し、10年6ヵ月を経過するまでの間に行うこととされています」と書き、その中のいつになるかは金融機関ごとに異なると添えています。実際の公告を1枚見てみましょう。

三菱UFJ銀行の電子公告(2026年3月31日付) 対象となる預金等は「2015年10月1日から2016年9月30日に最終異動日等があった預金等」、預金保険機構への納期限は2027年3月30日と記載されています。心当たりのある時期に取引が止まっている口座があるなら、いま動かせばまだ間に合う段階です。出典:株式会社三菱UFJ銀行「預金保険機構への移管対象となる預金等についての公告」2026年3月31日(公告PDFの掲載ページ)。

納期限は法律上の期限であり、実際の納付日とは異なる、とこの公告自身が注記しています。つまり期限ぎりぎりまで待つ前提で予定を組むのは危険です。もっとも、後述するとおり移管された後でも引き出せるため、この日を過ぎたからといって諦める必要はありません。

記帳すれば止まる、は銀行によって違う

「たまに記帳しておけば大丈夫」。よく聞く対策ですが、これは銀行によって当たりも外れもします。理由は、異動事由が2階建てになっているからです。

1階部分は全金融機関に共通します。施行規則第4条第2項が定めるのは3つだけ。①引出し・預入れ・振込みの受入れなどによる債権額の異動(利子等の支払を除く)、②手形または小切手の提示など第三者による支払請求、③公告の対象になっている預金への情報提供の求め。ここに記帳は入っていません。

2階部分が同条第3項です。通帳の記帳や繰越、残高の確認、契約内容や顧客情報の変更などが並びますが、これらは金融機関が行政庁の認可を受けた場合にだけ異動になります。認可を取るかどうかは各行の判断です。だから同じ「記帳」でも、扱いが割れます。

金融機関通帳記帳の扱い(各行の公表内容)確認できる資料
ゆうちょ銀行異動事由となる取扱いとして「通帳や証書の発行(再発行含む)、通帳記帳、通帳繰越」を掲載「休眠預金等活用法に係るお取り扱いについて」
三井住友銀行「預金通帳の記帳(記帳する取引がなかった場合を除き、一部記帳においては2017年12月25日以降に限ります。)」と条件つきで掲載「休眠預金等活用法に係る異動事由について」
三菱UFJ銀行「(一部の例外を除き、利息の入金、通帳の記帳だけではご利用があったとはみなされません)」とFAQに記載「長期間使用していない預金等のお取扱いについて」(2026年3月31日現在)

三菱UFJ銀行が公表している認可取得の一覧を開くと、普通預金について認可を受けた事由は施行規則第4条第3項の第2号・第3号・第5号・第6号と書かれています。記帳と繰越にあたる第1号は含まれていません。同じ一覧で、定期預金やスーパー定期、通知預金には第1号が入っています。FAQが言う「一部の例外」はこちらのことで、記帳が効くかどうかは同じ銀行の中でも商品によって変わります。

三井住友銀行の「記帳する取引がなかった場合を除き」という条件も見逃せません。通帳を機械に通しても、印字される取引がなければ異動にならない、という意味になります。10年動いていない口座は、まさに印字される取引がない口座です。

確実に止めたいなら、1円でも入出金する 3行の扱いが割れている以上、どの銀行でも通用するのは1階部分の入出金です。ATMで1,000円入れて、その場で1,000円引き出す。これで最終異動日等が更新されます。記帳や残高照会に頼るなら、その銀行が認可を取っているかどうかを先に確認してください。
同じ制度なのに、銀行で扱いが違うって不思議です。法律で決めてしまえばいいのに。
そこは事情があっての。記帳や残高照会を「利用の意思」と数えるには、銀行側がその記録を把握できねばならん。把握できる仕組みを持つ行だけが認可を申請する、という建て付けじゃ。
なるほど。じゃあ迷ったら入出金、で覚えます。
それでよい。ついでに言うと、キャッシュレスが進んで現金を出し入れせぬ口座が増えた。使わぬ口座が静かに10年に近づく、という新しい形の放置じゃな。

令和7年度に移った1,870億円はどこへ行ったのか?

移管されたお金は預金保険機構がいったん預かり、その一部が民間公益活動の原資になります。預金保険機構が2026年6月30日に公表した令和7年度の実績は次のとおりです。

項目令和7年度令和6年度
納付された休眠預金等移管金の額187,080,273,439円169,452,094,528円
移管金に係る休眠預金等の数5,869,928件6,316,135件
支払われた休眠預金等代替金の額58,733,782,888円52,266,556,193円
代替金に係る休眠預金等の数545,396件508,960件

出典は預金保険機構「令和7年度中の休眠預金等移管金の納付の状況等について」(2026年6月30日公表)および「令和6年度中の休眠預金等移管金の納付の状況等について」(2025年6月30日公表)。

この表を割り算すると、性格の違う2つの平均が出てきます。編集部が計算したところ、令和7年度に移管された1件あたりの平均は約3万1,871円。いっぽう払い戻された1件あたりの平均は約10万7,690円でした。取りに来る口座のほうが、移っていく口座より3.4倍ほど残高が大きい計算になります。

金額が大きい口座ほど、持ち主が覚えているということです。移管の件数を押し上げているのは、本人が忘れている小口の口座になります。

では、戻らなかったぶんはどうなるのか。法律の建て付けはこうです。

権威性引用 「休眠預金等に係る債権について第四条第一項の規定による休眠預金等移管金の全額の納付があったときは、その納付の日において現に預金者等が有する当該休眠預金等に係る債権は、消滅する。」——法第7条第1項は、いったん債権が消えると書いています。そのうえで同条第2項が、預金者等であった者は元本に利子相当額を加えた「休眠預金等代替金」の支払を請求できると定めています。消えるのは預金債権で、請求権は残る仕組みです。 出典:e-Gov法令検索「民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律」第7条(https://laws.e-gov.go.jp/law/428AC1000000101

将来の払い戻しに備えて、預金保険機構は準備金を積んでいます。令和7年度末の準備金は3,241億1,520万1,982円。ここから先の余剰が、内閣総理大臣に指定された指定活用団体へ交付されます。指定を受けているのは一般財団法人日本民間公益活動連携機構(JANPIA)で、2018年に指定されました。

内閣府の説明によると、助成の総額は通常枠と緊急枠を合わせて約354億円(2025年4月末時点)。資金分配団体は延べ342団体が選定され、227の事業が動いています。実行団体は1,368団体、1事業あたりの助成予定額は平均1,573万円です。これらはいずれも2025年4月末時点の数字です。使い道は、子どもや若者への支援、生活を営む上で困難を有する者への支援、地域活性化への支援の3分野に限られています。

現金を使う場面が減り、口座の出番が減っている影響も無視できません。決済手段の移り変わりはキャッシュレス決済比率58%の内訳と家計での活かし方で数字を追っています。

引き出しは窓口へ。持ち物と、戻ってくる金額

移管された休眠預金等の引き出しは、取引のあった金融機関の窓口で行います。期限はありません。金融庁のQ&Aは、移管された休眠預金等を引き出す期限について「期限はありません。いつでも引き出すことができます。」と答えています。

手順そのものは難しくありません。

  1. 通帳とキャッシュカード、本人確認書類を用意する。金融庁のQ&Aの表記は「通帳やキャッシュカード、本人確認書類など」で、これで全部とは書かれていません。三菱UFJ銀行は届出印を含む4点を挙げています
  2. 紛失していても諦めない。Q19の答えは「通帳などを紛失している場合であっても、本人確認書類(身分証明書)などをお持ち頂ければ、引き出すことができます。」でした
  3. ATMではなく窓口へ行く。Q22が挙げたのは、長く動いていない預金の引き出しに時間がかかること、そしてATMではなく窓口での手続きが想定されること
  4. 合併していたら、引き継いだ銀行へ。Q17の案内は、取引のあった金融機関を引き継いだ現在の金融機関で手続きする、というものでした
  5. 名義人が亡くなっている場合は相続人が請求する。Q18によれば、金融機関所定の手続きを経て相続人が引き出せます

受け取れる金額は目減りしません。Q21によれば、支払われるのは元本に元の預貯金契約に基づく利子相当額を加えた額で、元の契約どおりの額が支払われます。10年寝かせた罰金のようなものは、制度上ありません。

ただし、口座そのものの扱いは金融機関ごとに変わります。

金融機関移管後の通帳・カードの扱い口座の継続利用
三菱UFJ銀行「お手元の通帳・キャッシュカードはご利用いただけなくなります。当行本支店の窓口でお手続きが必要です。」継続利用は可能。ただし「一部の口座で同一の口座番号のご使用ができない場合がございます」
ゆうちょ銀行「ATM・ゆうちょダイレクトの利用ができなくなることがございます。」窓口手続きにより「払い戻し(解約)や引き続きのご利用が可能です」

問い合わせ先を間違えないことも大切です。休眠預金等の有無や引き出し手続きの案内は、法第6条により取引のあった金融機関が対応します。預金保険機構は個別の口座について答えません。同機構は問い合わせ区分の一覧で、移管や返還に係る制度・法律については金融庁、民間公益活動への活用については内閣府を案内しています。なお、同機構の休眠預金管理業務課(03-6262-6828)は、令和7年度の公表資料に関する問い合わせ先として記載されている番号です。

動かした資金の置き場所は別の判断になります。ネット証券を比較した記事としてSBI証券 vs 楽天証券 徹底比較|手数料・ポイント・新NISAで選ぶネット証券も用意しています。

民営化前の郵便貯金だけは、20年2か月で権利が消える

ここまで「期限はない」と書いてきました。例外がひとつあります。2007年10月1日の郵政民営化より前に郵便局へ預けた定額郵便貯金・定期郵便貯金・積立郵便貯金です。これらは休眠預金等の対象外で、代わりに権利が消滅する仕組みが働きます。

管理しているのは、独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構です。同機構が2026年8月20日付で公表した資料には、こう書かれています。満期後20年を経過してもなお払戻しの請求等がない場合は「権利消滅のご案内(催告書)」を送付し、その後2か月を経過しても請求等がない場合、その郵便貯金に関する権利は消滅する、と。

この期限は実際に効いています。同資料が載せている権利消滅額は、令和3年度が457億円。以降は令和4年度197億円、令和5年度155億円ときて、令和6年度は202億円でした。

令和8年7月末で、まだ2,639億円が残っている 満期を過ぎたまま払い戻されていない残高は、定額郵便貯金が2,404億円、定期郵便貯金が184億円、積立郵便貯金が3億円、その他の郵便貯金が47億円。合計2,639億円です。前月の令和8年6月末は2,666億円だったので、1か月で残高が27億円ぶん減りました。出典:郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構「満期を経過した郵便貯金の残存状況等のお知らせ」令和8年8月20日(PDF)。

注意したいのは、自動継続だと思い込んでいる定期郵便貯金です。同じ資料の注記に「自動継続扱いとしていた定期郵便貯金も、民営化以降(平成19年10月1日以降)は自動継続せず、満期となっていますのでご注意ください。」とあります。20年の時計は、本人が気づかないうちに動き始めていた計算になります。

権利が消えた後でも、道が完全に閉じるわけではありません。同機構は、真にやむを得ない事情があったと認められた場合には払い戻される、と説明しています。この運用は2024年(令和6年)1月から見直されました。実績は同機構が「権利消滅の扱いとなった郵便貯金の払戻しの件数及び金額」として公表しています。令和7年4月から令和8年3月までの審査は1,777件・11.6億円。承認も同じ1,777件・11.6億円と並んでいます(2026年3月31日現在)。

ただし、事情の説明を求められる手続きに入るより、期限内に請求するほうがはるかに簡単です。実家の引き出しに古い通帳や証書が眠っていないか、一度見ておく価値があります。

よくある質問(FAQ)

休眠預金等になったら、もうお金は戻らないのですか?
戻ります。預金保険機構は、休眠預金等になった預金等について、機構への移管後も休眠預金等活用法第7条に基づき引き続き取引のあった金融機関で引き出せる、と説明しています。金融庁のQ&Aも引き出す期限はないと明記しています。実際、令和7年度には54万5,396件・587億3,378万2,888円が持ち主へ支払われました。根拠:預金保険機構「長い間お取引のない預金(休眠預金)」
残高が1万円未満だと、本当に通知は来ないのですか?
来ません。施行規則第7条第4項が定める額が一万円で、法第3条第2項第1号により、9年経過時点の元本額がこれに満たない場合は通知の対象から外れます。金融庁のQ&Aも「1万円に満たない預金等については、通知はありません。」と書いています。ただし電子公告は残高にかかわらず行われるため、取引先の金融機関のウェブサイトで確認できます。
通帳に記帳すれば、休眠預金等になるのを防げますか?
金融機関によります。記帳は施行規則第4条第3項の事由にあたり、行政庁の認可を受けた金融機関でのみ異動になります。ゆうちょ銀行は通帳記帳を異動事由として掲載していますが、三菱UFJ銀行はFAQで「一部の例外を除き、利息の入金、通帳の記帳だけではご利用があったとはみなされません」と案内しています。どの金融機関でも確実なのは入出金です。
通帳もカードも印鑑も見つかりません。それでも手続きできますか?
可能です。金融庁のQ&A Q19は、通帳などを紛失している場合でも本人確認書類などを持参すれば引き出せると答えています。三菱UFJ銀行も、通帳・証書・キャッシュカード・取引印が見当たらない場合について、本人の預金であることが確認できれば払戻しができるとし、本人確認資料のほか口座の支店名や口座番号がわかるものを用意して窓口へ相談するよう案内しています。必要書類は金融機関ごとに違うため、来店前の電話確認が確実です。
亡くなった親の古い郵便貯金の証書が出てきました。どこへ行けばいいですか?
2007年10月1日より前に預けられた定額・定期・積立郵便貯金であれば、休眠預金等の制度ではなく、独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構が管理する枠組みで扱われます。満期後20年と2か月を過ぎると権利が消滅するため、時期の確認を先に行ってください。手続きの窓口はゆうちょ銀行または郵便局の貯金窓口です。相続が絡む場合は必要書類が増えるので、証書を持って窓口へ相談するのが早道です。
SUMMARY 忙しい人向け 記事のまとめ
  • 2009年1月1日以降の最終取引から10年動きがない預金等は休眠預金等になり、預金保険機構へ移る。金額の下限はなく、利子の入金では時計が止まらない
  • 9年経過後に電子公告、その前に元本1万円以上の口座へ通知。基準額の一万円は施行規則第7条第4項に明記。1万円未満と住所未更新の口座には通知が届かない
  • 記帳で止められるかは銀行次第。ゆうちょ銀行は異動事由に掲載、三菱UFJ銀行は普通預金では認可を取っていない(定期預金では取得済み)。どこでも通用するのは入出金
  • 令和7年度の移管は586万9,928件・1,870億8,027万3,439円、払い戻しは54万5,396件・587億3,378万2,888円。1件平均は移管が約3万1,871円、払い戻しが約10万7,690円
  • 引き出しは取引のあった金融機関の窓口で。期限なし・元本+利子相当額。通帳を失くしていても本人確認書類で手続きできる
  • 例外は民営化前の郵便貯金。満期後20年+2か月で権利が消滅し、令和6年度だけで202億円が消えた。令和8年7月末で2,639億円が未請求のまま残る
博士、今日の持ち帰りはこれでいいですか。「銀行の口座は焦らなくていい、郵便局の古い貯金は急ぐ」。
よくまとめたの。付け足すなら住所の届出だけは今日やっておくことじゃ。通知が届く口座と届かぬ口座の差は、そこで決まる。転居の多い者ほど効くぞ。

関連記事

この記事の著者・監修

博士

博士(フクロウ博士) 著者・監修

ファイナンシャル・プランナー有資格者。長年マネー記事の監修を務めるベテラン。古風な口調で、初心者がつまずきやすい仕組みを噛み砕いて解説する。担当領域:FX・株式・税金・社会保険・ポイ活税務。

クルミ

クルミ 構成協力

オトクル編集部の20代ライター。投資・ポイ活未経験から、記事執筆を通じて知識を積み上げてきた読者代表。読者と同じ目線でつまずきポイントを言語化することを得意とする。担当領域:副業・ポイ活・クレカ・暮らしのお金。